10月18日、民主党栃木県連は宇都宮市内において第5回となる『民主党とちぎ政策研究会』を開催した。

今回は、原中勝征さん(医師・前日本医師会長)が「日本の医療制度が崩壊する…守るためにはどうすべきか」と題し、講演を行った。

原中氏は、行き過ぎた規制緩和を推し進め、弱肉強食の社会を創り上げようとする自民党政権を真っ向から批判し、日本医師会内で初めて民主党支持を表明。2004年に茨城県医師会長、2010年には日本医師会長に就任し、医療現場から社会の変革に取り組んだ。

原中氏は「日本の『国民皆保険制度』は世界に誇れる最高の制度」とし、国民が平等に安心して医療を受けられることで、現在の長寿大国・日本を築くことができたと説明。
ところが、保険料を払えない若者が20%に達している現状や、20年後に人口が3,000万人減少するとの予測から現制度が成り立たなくなることを指摘し、「日本の医療制度が崩壊する最大の理由は収入がないこと」と訴えた。

また、自民党政権のアメリカを追従する姿勢を危険視した上で、現在、政府が参加交渉を進める『TPP(環太平洋連携協定)』問題にも言及した。
原中氏はTPP参加について、「経済連携と言われているが、実態は全てアメリカの言いなりとなり日本の主権が脅かされる愚策」と切り捨て、参加すれば医療保険の自由化や混合診療の解禁により、これまで以上に国保制度の圧迫や医療格差が広がることを憂慮。既に、医薬品や医療器具の選定や購入さえもアメリカ主導で行われていることを紹介した。

これらの問題について原中氏は「国民一人ひとりが自身の生活がどうなっていくのか見つめ直すことが必要。同時に命と健康を守るため現政府に対し強い意志を持って意思表示するべき」と政治参画の必要性を説いた。
さらには、頼れる野党の存在が不可欠であることを強調した上で「本当は民主党が頼れる野党にならなくてはいけない。TPPや集団的自衛権等々、政策で野党がまとまり国民に具体策を示すべき。また国民は自身のためにも二大政党制を作るべき」と締めくくった。

講演する原中勝征さん

講演する原中勝征さん

講演する神野直彦さん

10月4日、民主党栃木県連は宇都宮市内において第4回となる『民主党とちぎ政策研究会』を開催した。

今回は、神野直彦さん(東京大学名誉教授)が「地方のことは地方で決める!県民市民の幸せへの近道は“地域主権”」と題し、講演を行った。

神野教授は、財政学と地方財政論を専攻し、国会内の審議会や有識者会議、調査会等の主要メンバーとして、国の施策立案等に尽力している。これらの業績が称えられ2009年には紫綬褒章を受章。

神野教授は地方分権の目的について、平成5年に国会で決議された『地方分権の推進に関する決議』の内容を引用し、「国民が待望するゆとりと豊かさを実感できる社会にするため、中央集権的行政のあり方を問い直し、国から地方への権限移譲、地方税財政の充実強化等により、地方自治を確立すること」とした。

しかし、当時から20年経った今、地方における過疎化や地域経済の空洞化がますます顕著となっている状況から、「“経済成長”ではなく“生活重視”の社会を構築することが必要」と訴えた。

民主党政権時の地域主権改革について、各省庁の枠組みを超えて各自治体に支給した『一括交付金』の導入や、国と地方自治体との協議の場を法制化したことを実績として紹介。
一方、現政権が掲げる『地方創生』について「実態がよく掴めない。補助金が増えるだけなのでは」と、本来あるべき分権改革の姿から逆行しているとの認識を示した。

神野教授は、これからの時代が“工業社会”から“知識社会”に変遷するとし、「私たちがこれから必要なのは、私たち人間の生活や社会の未来を作り上げていくために、身近なところで手の届く公共空間でもって社会的共通資本を管理することである」と説いた。
また、「今の状況が極めて重要な歴史の曲がり角に入っている」と指摘したうえで、「可能な限り国民が身近なところから声を上げ、下から上に改革していくべき」と指南した。

講演する神野直彦さん

主催者を代表しあいさつする福田昭夫衆議院議員

閉会あいさつに立つ田城郁参議院議員

司会・進行を行う加藤優日光市議

講演風景

講演風景

講演する柴田明夫さん

9月27日、民主党栃木県連は宇都宮市内において第3回となる『民主党とちぎ政策研究会』を開催した。

今回は、柴田明夫さん((株)資源・食糧問題研究所 代表)が「もう当たり前じゃなくなる食糧・エネルギーの安定供給?!危機的状況に突入した日本の対策」と題し、講演を行った。

柴田代表は、丸紅(株)、丸紅経済研究所を経て現在に至る。農林水産省の政策審議会や研究会の委員も務める食糧・エネルギー問題について研究する第一人者である。

柴田代表は、2011年以降、日本の貿易赤字が続いていることにふれた。理由として資源の高騰を挙げ、これらは一過性の上昇ではなく、大国・中国の需要拡大や後進国の台頭、さらには中東・北アフリカの地政学的リスク・急激な人口増が要因していることを紹介。

食糧の輸入にあたっては、今後、トウモロコシや小麦、大豆の主要品目について日本と競合する恐れもあると指摘した。
これらの事態は結果として、日本がこれまで追求してきた『3つの安定(価格)(品質)(供給)』が脅かされることになると懸念。

柴田代表は、「日本は(食糧の)不足と過剰が併存していることが問題だ」とし、今後の国内の資源・エネルギー戦略を考えるうえで『国内資源のフル活用』を提案した。
農業であれば、単に農地をフル活用するということだけではなく、水資源や人材の確保を行うことで地域コミュニティの活性化に繋がるというもの。
また、本県についても話が及び、「大市場に隣接し、水資源にも恵まれているが有効に使われていない。もう一度地域を見直していく時が来ている」と提言した。

資源価格を大きく引き下げることは難しい現状を踏まえ、省エネや代替エネルギー等への対応が必要であるとともに、柴田代表は「『成長戦略』よりもまずは『安定』を求めるべき。1次産業とくに農業・農村地帯の安定が重要」と説き、このことは結果的に包容力が大きくなるとした。

講演する柴田明夫さん

講演風景

講演する長妻昭議員

9月20日、民主党栃木県連は宇都宮市内において第2回『民主党とちぎ政策研究会』を開催した。当会は政策について学ぶ場、さらには県民と対話しながらともに政策的課題について研鑽を積むことを主目的とし、全8回で企画された研究会。

第2回は、長妻昭さん(衆議院議員、元厚生労働大臣)が「自公政権の100年安心年金制度が危ない 真の社会保障実現のために」と題し、参加者約100人を前に講演を行った。

2007年、国会での社会保険庁のずさんな管理実態を暴き、解決に向けた取り組みを行った民主党は、国民の大きな期待を受け、政権交代を導く一つの原動力に。この取り組みの先頭にいたのが、後に“ミスター年金”と呼ばれる長妻議員であり、綿密な独自調査、根拠に基づく鋭い追及により『消えた年金問題』の解決に尽力した。

長妻議員は、先進国で生活保護を受ける人はほとんどいないことを紹介したうえで、「日本の年金制度は脆弱である」とした。その原因の一つに、グローバル企業のみを優遇する安倍政権が推し進める“成長戦略”により格差が拡がり続け、結果として年金を納められない事業者、国民が増えていることを挙げた。

また、年金積立金130兆円が「“成長戦略”の名のもとに株価維持に利用される恐れがある」とし、目的に反する邪道なやり方を選択する現政権を批判した。

長妻議員は、年金制度の抜本改革の必要性を説くと同時に根底には、『非正規雇用』が増え続ける等、格差拡大が原因にあると指摘。
『格差是正』がカギとなる日本の社会保障について「今は巨大与党に対抗する小さい野党だが論を張って与党をチェックしていく」と訴えた。

更に、安倍内閣の二極化、右傾化を問題視したうえで、「多様な価値を認め合い、皆に機会がある社会の実現こそ結果として国が強くなる。民主党にしかこれらの実現はできない」と改めて改革へ取り組む決意を述べるとともに、引き続きの支援を求めた。

講演する長妻昭議員

講演に聞き入る参加者

主催者代表あいさつする福田昭夫県連代表

司会・進行を務める佐藤栄副代表

 

講演する山口義行教授

9月13日、民主党栃木県連は宇都宮市内において第1回『民主党とちぎ政策研究会』を開催した。当会は政策について学ぶ場、さらには県民と対話しながらともに政策的課題について研鑽を積むことを主目的とし、全8回で企画された研究会。

記念すべき第1回は、山口義行さん(立教大学経済学部教授)が「地域活性化なくして日本活性化なし 地域のパワーは中小企業から!」と題し、参加者約100名に講演を行った。

山口教授は、経済危機やバブル問題に関するスペシャリストであり、テレビ等でのコメンテーター等も多く務める。また、中小企業の連携活動支援にも精力的に関わり、現在は、『スモールサン(中小企業サポートネットワーク)』主宰者として活動を全国展開している。

山口教授は、アベノミクスが進むにつれて中小企業の経営はますます厳しくなると指摘。この厳しい時代を生き抜くためには“読む力”“問う力”“つなぐ力”の3つが必要であると説いた。
また、「この3つの力の中でも“読む力”が最も大事」とするも、「テレビ等から出される情報は、言論統制された内容であることを認識しなければならない」とし、自身の体験談をもとに「現在の日本は自由にものが言える社会から遠ざかっている」と警鐘を鳴らした。

さらには、政府・与党が進める成長戦略は株価対策でしかないと切り捨てた上で、来年度から導入予定の『法人税減税』や『外形標準課税』のからくりと実態をわかり易く解説。導入後、しわ寄せの多くは中小企業が受けることを危惧するとともに、これらの実態があまり理解されていないことを憂慮した。
結果として経済力が落ち、地域が疲弊するこれらの政策について、「これらの政策をストップさせるために、最初にしかけるべきは民主党だ」と語り、各議会等での反対決議を積極的に行うべきとした。

山口教授は、日本の景気経済の回復・向上は、中小企業の再生なくして望めないとし、具体的事業展開のひとつとして『隣接異業種』を提唱。これは、本業に近い分野で、ノウハウやマーケットが生かせる異業種のことを指し、本業とかけ離れていないので、リスクを抑えて新たな事業展開が狙えるというビジネスモデル。
全国の経営者がこの発想をもとに事業を拡大させ、地域活性化にも繋がっていることを紹介した。

講演後、参加者(会社経営)は「アベノミクスのまやかしが良く分かった。また経営の考え方を後継者や地元の仲間たちにも伝えたい」と語った。

講演する山口義行教授

講演に聞き入る参加者

主催者代表あいさつする福田昭夫県連代表

司会・進行を務める松井正一県連幹事長