「民進党栃木県連(代表:福田昭夫衆院議員)」ならびに県議会会派「民進党・無所属クラブ(代表:佐藤栄県議)」は1月25日、県庁にて「2018年(平成30)年度 県当初予算及び政策推進に関する要望書」を県知事に提出した。
今回は新規5項目を含めた31項目を要望。
要望書の提出にあたり、佐藤栄代表は国の予算に触れ、「社会保障費が1300億円圧縮されてしまい、地方行政に与える影響が大きくなる」と懸念。そして、「県税収入の見込みは注視していかなければならないが、具体的な政策推進をしてほしい」と強く求めた。
2月6日、これらの要望について福田富一知事より回答を受けた。
知事は冒頭、現況について、「医療福祉関係経費の増加、新たな行政事業等の対応により財源不足が見込まれる中、自律的な行財政基盤の確立に取り組んでいる」と述べた。そして、「県税収入が増加する一方、地方交付税、臨時財政対策債は減少し、引き続き厳しい財政状況が見込まれているが、必要な財源を確保するために行革プランに掲げた財政健全化の取り組みを実行して行く」と説明した。
予算総額は、前年度当初予算に対して125億減の8034億円。実質的には前年度並みの予算規模。減少の大きな要因として、リーマンショックや東日本大震災の際に貸し付けた分の償還が進んだことによる継続貸付分の減(108億円減)とマイナス金利導入後の低金利による公債償還費の減(20億円)が挙げられた。
要望書の回答を受け取った後に行った記者会見で佐藤代表は「社会保障対策について、真正面から取り組む姿勢が見られなかったことが残念」と遺憾の意を示した。また加藤政調会長は、財源の確保について「増収を見込みながらも基金を110億円取り崩すことは、財政健全化といえるのか」と危惧した。
1月21日、民進党栃木県連は宇都宮市内で『民進党とちぎ政策研究会』を開催した。
第4回目となる今回は、慶應義塾大学経済学部の井手英策教授を講師とし、参加者約70名が今後の社会保障の在り方などについて学んだ。
井手氏は、財政社会学を専門とし、総務省や全国知事会等の各種委員のほか、朝日新聞論壇委員なども歴任。民進党のマニフェスト制作の中心的役割も果たした。
「なぜ私たちは引き裂かれるのか・・分断大国ニッポンが生まれ変わるための社会保障」と題した講演の冒頭、井手氏は『働かざるもの食うべからず』の『働かざるもの』は本来、『貴族』を意味する、との語源を紹介した。ところが現在の日本は、勤労せずに他人の厄介になることは恥と受け止める風潮があることに、「この社会の深い闇がある」と指摘した。
過去の可処分所得や家計貯蓄率、さらには経済成長率の推移を示したうえで、「経済成長に頼った自己責任型の社会では今後やっていけない」と問題提起した。
そのために井手氏は「全ての人々が利益を得られるような社会を目指すこと」とし、「税で未来の希望を作ることが必要」と訴えた。
欧州並みの消費税率にすることで、「医療、介護、教育等のサービスを誰もが平等に受けることができ、また、将来の不安から解放されることができる」と説いた。
また、井手氏自身の生い立ちを披露し、「生まれたときの運・不運で一生を決めさせては絶対にいけない」とし、「人間を助けるのがいい社会ではなく、助けられる人間がいない社会をつくるべき」と訴えた。
井手氏は、安倍政権が3度にわたり生活保護費の引下げを行うことにふれ、「最低限の生活を保障するのが“生活扶助”。この領域をどうしてせばめようとするのか」と憤慨し、「誰もが堂々と生きられる『尊厳ある生活保障』と人間の最後の自由の砦である生活扶助に住宅の保障を加えた『品位ある命の保障』が必要」と力説した。