12月10日、民進党栃木県連は宇都宮市内で第3回目の『民進党とちぎ政策研究会』を開催した。
今回は、法政大学法学部教授の山口二郎氏が、「抹殺された民主主義と憲法 漂流する日本政治の行方」と題する講演を行い、現在の国会情勢や野党の在り方、さらには立憲主義の大切さなど約80分間にわたり力説した。
山口氏は、政治過程論を専門とする。テレビや執筆で活躍するほか、当時、民主党の政策ブレインとして支え続け、2009年の政権交代を自右舷させた。2014年には憲法学者や政治学者らと『立憲デモクラシーの会』を立ち上げ、今も共同代表として立憲主義の崩壊を食い止める市民運動を精力的に行っている。
山口氏は、二大政党制を確立するため挑戦したきた自身の人生で、一番挫折感を味わったのが先の総選挙での『民進党』と『希望の党』の合流だったと振り返った。この合流は「呉越同舟で希望的観測に過ぎなかった」と切り捨て、「同時に今日まで築き上げてきた野党の連携を台無しにしてしまった」と嘆いた。
このことは結果として、国家を私物化する安倍政権の延命にも繋がってしまった。
「人を支配することであるものをなかったことにできる。現在、政府内部で規律が崩壊し、政府の外に対する権力の濫用が頻発している」。山口氏は安倍政権によって、国家の私物化がより顕著になったと危険視する。
もう一度政権交代を実現するために、「安倍政治に対抗する穏健保守、リベラル、革新勢力の大結集が必要。究極の理想より5年先の日本を立て直す政策を共有すべき」と説いた。
また、新たな政党モデルの構築も必要とし、市民参加による政党運営や地域組織におけるプロとアマの結合、さらには地方選挙への取組みがそのカギとなることを訴えた。
山口氏は外交、安保法制以前の自衛隊や安保体制を容認すること、そして中負担、中福祉の社会保障の合意を得ることが「乗り越えないといけない難題」だと示し、こう締めくくった。「できないと諦めていることを実現するのが政治である」。