民進党栃木県連は、2月4日、「第5回民進党とちぎ政策研究会」を開催した。
参加者約50名は、福祉政治論を専門とする中央大学法学部の宮本太郎教授による講演から、社会問題となって久しい子どもの貧困問題や社会保障の今後の在り方などを学んだ。
「貧困の連鎖はいつかあなたをも巻き込むかもしれない・・ 脱『格差社会』への戦略」と題した講演で宮本氏は、今後、日本の平均寿命は100歳を超え更なる長寿国となる一方、幸福感が広がらない社会になることを資料をもとに説明し、「広がらない理由は困窮化、孤立化、そしてエイジズム(年齢差別)が進んでいることに尽きる」と指摘した。
社会的支出の増大と困窮率の上昇なども要因し、現役世代の雇用や進学、さらには出産などの選択に悪影響を及ぼしているという。
宮本氏は「現役世代に対する高齢世代の割合が急速に増える日本で『支える』側と『支えられる』側の二分法では、今後対処する仕組みは作れない」と警鐘を鳴らした。
その対策として、「これまでの縦割りの生活保障ではなく、就労と居住において包摂され共生できる条件を確立することが必要」と説き、雇用の間口の拡大や勤労所得を補完する所得保障の創設、多世代・多世帯共生の住居、さらには国の住宅セーフティーネット制度の展開など今後、必要とされる取り組みを具体的に挙げた。
縦割りを超えて支援を目指す生活困窮者自立支援制度についても言及した宮本氏は、「だれもが転げ落ちない社会のかたちを作りあげなくてはいけない」と締めくくった。