民意なきLRT導入を阻止する会(以下、阻止する会)(代表:上田憲一氏)が、1月15日に宇都宮市に対し行った住民投票条例制定を求める直接請求を受け、宇都宮市議会は29日、議員43名による採決を行い、自民党議員、公明党議員の反対多数により、この条例制定を否決した。これにより、住民投票は行われないこととなった。
阻止する会は直接請求を行うにあたり、11月8日から12月8日までの1ヶ月という短い期間において、住民投票条例制定を求める署名活動をし、30,512名の署名を収集した。
直接請求を受けた宇都宮市長は臨時会を招集し、1月24日から29日の会期にて住民投票条例制定について審議することとした。
佐藤市長は24日の本会議にて意見書を提出し、「LRT事業については、議会と執行部との間で長年にわたり議論を重ねてきた。LRTにかかる予算についても議会の承認を得ている」と説明。また、「市長選において公約として掲げ、その結果、多くの市民から負託を得ている。このことからも、住民投票を行うことなく、議会と執行部との間で十分に議論し進めていくことが適切である」と住民投票は必要ないと強く態度を示した。
27日の本会議では阻止する会の上田代表が代表意見陳述に立ち「佐藤市長がLRT導入の構想、効果に確信をもっているのであれば、自治基本条例第15条にある“市政にかかる重要事項”として住民投票を活用し、市民の意思を確認するべき」と反論。「住民投票を求める3万人余の署名の重みをとらえて、議決に臨んでいただきたい」と住民投票条例制定を求めて強く訴えた。
27日の本会議終了後に総務常任委員会が開催され、上田代表、曽我副代表、市長、執行部に対し質疑が行われた。
5時間半にもおよぶ委員会では、住民投票実施の必要性などについて質疑がされたが、市長、執行部からは「市民へは丁寧に説明してきた」「市長選挙の結果をもって負託されている」との一辺倒の答弁でしかなかった。
28日午前中、延会となった総務常任委員会で議員間討議が行われ、住民投票賛成会派と反対会派によって討論されたが、結果、否決。
29日の本会議採決においても賛成議員からの強い訴え、署名者の思いも届かず、賛成15名、反対28名で否決された。
結果を受けて上田代表は、議会棟前にて傍聴者にこれまでの活動の御礼と報告を行い「市長、議会から住民投票否決をするに至った、納得のいく十分な説明がなかったことは大変遺憾であり不満」と強く抗議したうえで、「皆さんの思いが届かなかったことが極めて残念だが、この結果を受け、市民の権利を無視し、LRT導入を強行推進する市長の市政運営に対し、強く言及していく」と今後の活動について示した。