民主党栃木県連男女共同参画委員会(委員長:福田智恵宇都宮市議)の呼びかけにより、男女共同参画の視点からの防災・復興の対応について栃木県議、宇都宮市議、鹿沼市議、足利市議、小山市議、栃木市議、県連役員の21名は仙台市へ視察を行いました。
まず、仙台市役所にて議会事務局調査課長から仙台市内における被災状況および震災後の取り組みについて説明を受けました。
地震直後からライフラインが機能せず、通信機器の不通により特に津波による犠牲者が多く出てしまった等、各種被害状況について詳細な説明をいただきました。
また「仙台市地域防災計画では、今後5年間内で津波による浸水域の集団移転を検討している」と今後の行政の取り組みについて示されたが、一方で「もともと農業が盛んな地域であり、内陸への移転となった場合に農業を行う環境が不便になる」など様々な問題点も指摘していました。
次に折立5丁目地区の現地視察を行いました。
折立団地は、昭和40年から47年にかけて県住宅供給公社により造成され、約1500世帯、約3400人が居住していました。折立5丁目地区では、地震により法面や宅地の土留め擁壁の崩壊、沈下、亀裂等が発生し、建物が傾いたり多くの宅地が被災。現在も住民の方は避難先の仮設住宅等で不便な生活を余儀なくされているそうです。
一方で仙台市は国の3次補正に創設された「造成宅地滑動崩落緊急対策事業」を当地区に適用。住民負担金が大幅に圧縮されたため早期復旧に向け期待を寄せていました。
最後に、特定非営利活動法人イコールネット仙台の代表理事・宗片惠美子さんより「防災・災害復興に女性の視点を」と題した講話がありました。
宗片さんは、「多くの避難所では、閉鎖的な空間にいることが長くなる。この状況では、自由がなく、性別役割分業意識が顕著に表れていき、女性たちが声を上げることが出来ずに諦めと我慢の生活を余儀なくされていった」と当時の苦悩を吐露。
一助となればとの想いから、避難所のハード・ソフト両面からの検証を行い、女性たちの心の回復に向けた支援活動の展開を行ったそうです。
宗片さんは、「従来の性別役割分業意識を引きずったままでは、女性が防災・災害復興の主体になれない」とした上で、「運営リーダーや責任者、方針決定の場などへの女性の参画を確保し、復興の担い手として活躍を支援することが必要である」と明確に指針を示されました。
仙台市議会議員の佐藤わか子さんとも交流し、震災当時の状況などお話をうかがうことができました。報道等で表に出てきている情報と実際の現場で状況を把握したものとでは、非常に隔たりがあることがわかりました。佐藤市議からも男性・女性両視点からの協力体制づくりを構築していくことが大事だとお話しがありました。
栃木県も被災県であり、今もまだ復興段階ではありますが、行政の在り方を再度見直し、地域防災と男女共同参画の点から細かな震災対策を講じていかなければならないと考えさせられました。