栃木県連は5月30日、国立きぬ川学院(さくら市・こちらは国立としては全国に2つしかない『児童自立支援施設』のうちの一つで、女子児童だけの施設です)の視察をおこないました。少年法改正が検討される中、児童自立支援施設の現状や運営、子どもたちに対する支援がどのように行われているかなどについて、具体的に現状をとらえ、今後の課題を検討することを目的とし、現地で2時間にわたり意見聴取・意見交換・内部見学等をしました。
(参加者名:簗瀬進代表、谷博之代表代行、水島広子副代表、福田昭夫副代表、山田美也子男女共同参画委員長)
当初予定になかったのですが、急きょ退所式に参列し、1年7ヶ月入所していた児童を見送りました。生活を共にした仲間をはじめ関係者の方々一人一人と握手をしながらの退所。児童の目からは涙があふれ“みんなも幸せになってね、必ず手紙書くからね”とお互い両手を握りしめ、別れのあいさつをしていました。私たちも必死に涙をこらえながら彼女達の別れを見守りました。涙でくちゃくちゃになったその笑顔がとても印象的でした。
その後、会議室において院長をはじめ児童福祉専門官等から現状等をお聞きしました。
学院では、児童は10数名を1単位とする寮に入寮し、寮担当である夫婦の専門職員が起居を共にし(自分達の子供も)、集団生活の中で職員や他の児童との良好な人間関係や、生活指導を通して日常生活で必要な基本的生活習慣を身につけられるようにしている。ただ、職員の方々の負担が大きすぎて以前はこの体制のところが多かったが、現在は『児童自立支援施設』の4割位に減ってしまったそうです。
学院には、高い塀はなく植栽があるだけ。地域住民の方々の深い理解と協力があって成り立っている。「地元の方々も“ほこりをもっている”“地域にとけこんでいる”と言って下さる。ほんとうにありがたい」と院長先生。行政の協力もあり院内に併設されている「さくら市立氏家中学校うの花分教室」で学校教育も受けられる環境だそうです。
水島副代表からの「今後改善してほしい点は?」の問いに「とにかく早期発見、早期治療。そして児童を育てるプロがもっと必要」と学院側は要望を述べました。
最後に水島副代表より、「現在、厳罰を求める声が多い中で、愛情いっぱい育てていただいている院長先生をはじめ職員の方々のご期待に応えられるよう、また再犯の可能性をなくせるよう少年法の改正に取り組んでいきたい。」と決意を述べ現地視察を終了しました。