11月8日、民主党栃木県連は宇都宮市内において第7回となる『民主党とちぎ政策研究会』を開催した。
今回は、三橋貴明さん((株)経世論研究所所長)が「日本の国家財政破綻の可能性は・・アベノミクスの幻想から脱却する日本経済の再生」と題し、講演を行った。
三橋氏は、外資系IT企業、NEC、日本IBMなどを経て2008年に中小企業診断士として独立。2007年にはインターネット上の公表データから韓国経済の実態を分析し、内容をまとめた『本当はヤバイ!韓国経済』(彩図社)がベストセラーとなる。
運営するブログの一日のアクセスユーザー数は12万人を超え、推定ユーザー数は36万人に達している。雑誌への連載・寄稿、各種メディアへの出演、全国各地での講演なども精力的に行う、経済に関する人気解説者の一人でもある。
三橋氏は冒頭、中国の古典から“経世済民(世を經(おさ)め、民を濟(すく)う)”という語を引き合いにし、「政府の目的は一つ。“経世済民”。これが実現できればどんな政党が、どんな政治家が行っても善になり、そうでなければ悪になる」との考えを示した。
この観点から「今、安倍政権が行っている経済政策は経世済民、わかり易く言うと国民を豊かにする政治が出来ていない」と指摘した。
来年予定される消費税再増税の可否にも言及し、「我が国の実質賃金や消費支出、さらには家計貯蓄率などが落ち込んでいる現在の状況を見れば大規模緊急経済対策を行い、国民の所得を押し上げなければならない時期であり、再増税が出来ないことは明らか」との認識を示した。
また、三橋氏が提唱する『所得創出のプロセス』における“生産”“消費・投資”“所得”全てが“GDP(国内総生産)”の増減に完全に一致すると解説。
「デフレは戦争なみに国民に打撃を与える」と我が国でデフレが深刻化することを危険視し、デフレギャップを補うためには“GDP”を増やすことであると力説した。
さらに、デフレ対策は「政府にしかできない」とし、今後、政府の投資を増やす必要性を説いた。
三橋氏は、安倍政権が法人税減税や実質賃金の切り下げ等々を行うことにより企業の利益が増え、結果、資産効果を期待する姿勢に対し「“日経平均至上主義”になっている」と切り捨てたうえで、「株価がいくら上がっても国民の所得は増えない。“株価至上主義”から実質賃金拡大の方向にもっていかなくては酷いことになる」と示唆した。「是非、民主党はこれらのことを抽象的ではなく論理的に追及するべき」と提言した。
11月1日(土)、民主党栃木県連は「集団的自衛権行使容認に断固反対する県民集会」を宇都宮市内で開催した。
福田昭夫県連代表は、集団的自衛権行使容認について「国民が知らないことが多くある。同じ情報を共有し、共通理解を是非、深めていただきたい」と主催者を代表し当集会の意義を語った。
また、「安倍政権が進める“いつでも戦争ができる国を作る”を絶対許してはならない。断固阻止するため皆様の力をお借りしたい」と約300名の参加者に協力を求め、集会がスタートした。
急きょ会場に駆け付けた海江田万里民主党代表は、前日に日本銀行が追加金融緩和を決定したことにふれ、「皆さんの生活が豊かになるかといえばむしろ逆。円が安くなれば物価が上がり、ますます国民が苦しむことになる」と指摘。円売りを加速させることに繋がるこの決定に「日本の国民の生活にとって禁じてを使ってしまった」と訴えた。
同じく年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が株式に運用する比率を上げたことにも言及し、「株をなんとか上げ、黄色信号が灯っているアベノミクスをみせかけだけで進めるようにしている」と切り捨てた。
海江田代表は集団的自衛権行使容認について、「決定する手続きを重視することが民主主義の大原則」と前置きしたうえで、今回の閣議決定は「国民の声を全く聞かないどころか、国民を無視した手法をこのまま押し通させるわけにはいかない」と国民不在の決定方法に憤りを示した。
さらに、中身にも大きな問題があると指摘。歴史を否定する安倍政権に対し「大変危険な政権」とし、「民主党は野党として、今国民がどういう心配をしているのか受け止めて国会で発言していく」と安倍危険政権と真っ向から論争に挑むことを誓った。
基調講演には孫崎享氏(東アジア共同体研究所所長、元防衛大学校教授、元外務省国際情報局長)が登壇。『日本発・戦場行の安倍暴走列車を止めるべし!集団的自衛権行使が導く危険な行く末』と題し熱弁を振るった。
孫崎氏は1941年の真珠湾攻撃が、当時、国民の声を聞かずに強権でもって政策を進めたことがきっかけであったことを引き合いにし「今日の安倍政権が行おうとしていることは、第二次世界大戦以降、日本の最大の危機になっている」と警鐘を鳴らした。
また、“自国民を守るため”として起きたこのような攻撃が、二度と起きないように定められたのが『国連憲章』であると説明。
ところが現在、安倍総理がひた隠しに推し進める集団的自衛権の行使は、武力攻撃が発生した場合にのみ行使すると謳う『国連憲章』とは全く異なるものであると訴えた。
加えて法律を担う国の中枢の一つである『内閣法制局』の歴代長官2名が「日本の防衛には基本的に関係ない」と述べていることに触れ、孫崎氏は「集団的自衛権とは自国防衛ではなく、他の国を守る権利である」と言い切った。
“人道支援”“経済支援”の名のもとに戦地に赴き、結果、多くの命が失われている実態を踏まえ、「安倍総理の国民を間違った方向に導く明々白々の嘘を見破らなくてはならない」とした。
孫崎氏は、「平和のために私たちが真剣に考える時にきている」と喚起。現在、意図的に平和国家から脱却しようとしている安倍政権に対し、「本当に日本の国を思うならまだ許せるが実態は違う。集団的自衛権は自国防衛でない。他衛権である。他の国を守るための権利を拡大する、こんなばかげたことをなぜやらなくてはならないのか」と訴え、講演を締めくくった。
そのほか集会では『集団的自衛権行使容認を断固許さない決議』の採択や、参加者全員での容認阻止に向けた『ガンバロウ三唱』を行った。
なお、当集会は民主党栃木県連主催『第6回民主党とちぎ政策研究会』とセットで開催した。
民主党栃木県連は、10月29日宇都宮市内にて来春の統一選挙に向けた「選挙に関する第2回勉強会」を開催した。
本年4月に公選法を主旨とした勉強会に続き、今回は選挙に勝つための戦略戦術の構築をテーマとし、「勝つための選挙プラン作成と個人後援会の作り方」と題し、株式会社アノン世論調査センターの野沢高一代表取締役が講義を行った。
勉強会の冒頭、主催者代表あいさつに立った佐藤栄県連副代表は、「今回の勉強会は候補者にとっては大変価値のある内容。選挙をサポートしてくださるスタッフの方々には、よりよい選挙体制構築のために学び、今後候補者に対しアドバイスしてほしい」と求め、また民主党必勝に向けた選挙準備を進めていくよう要請した。
野沢氏は、有権者がどのように政党、候補者を選択するのか独自で行った膨大な世論調査のデータをもとに分析。これらの分析結果に基づき、効果的な個人後援会の作り方や有権者へのアプローチ方法等を細かく説明。
約100名の参加者は裏付けされ野沢氏の説明に関心深く聴き入り、質疑でも後援会の広げ方や選挙戦略など、現在活動するにあたって直面している課題について多くの質問が出た。
参加者からは「データを紐解くことで、有権者が何を求めているのか大変わかりやすかった。今後の後援会作りや選挙運動に大いに活用していく」と語った。
10月18日、民主党栃木県連は宇都宮市内において第5回となる『民主党とちぎ政策研究会』を開催した。
今回は、原中勝征さん(医師・前日本医師会長)が「日本の医療制度が崩壊する…守るためにはどうすべきか」と題し、講演を行った。
原中氏は、行き過ぎた規制緩和を推し進め、弱肉強食の社会を創り上げようとする自民党政権を真っ向から批判し、日本医師会内で初めて民主党支持を表明。2004年に茨城県医師会長、2010年には日本医師会長に就任し、医療現場から社会の変革に取り組んだ。
原中氏は「日本の『国民皆保険制度』は世界に誇れる最高の制度」とし、国民が平等に安心して医療を受けられることで、現在の長寿大国・日本を築くことができたと説明。
ところが、保険料を払えない若者が20%に達している現状や、20年後に人口が3,000万人減少するとの予測から現制度が成り立たなくなることを指摘し、「日本の医療制度が崩壊する最大の理由は収入がないこと」と訴えた。
また、自民党政権のアメリカを追従する姿勢を危険視した上で、現在、政府が参加交渉を進める『TPP(環太平洋連携協定)』問題にも言及した。
原中氏はTPP参加について、「経済連携と言われているが、実態は全てアメリカの言いなりとなり日本の主権が脅かされる愚策」と切り捨て、参加すれば医療保険の自由化や混合診療の解禁により、これまで以上に国保制度の圧迫や医療格差が広がることを憂慮。既に、医薬品や医療器具の選定や購入さえもアメリカ主導で行われていることを紹介した。
これらの問題について原中氏は「国民一人ひとりが自身の生活がどうなっていくのか見つめ直すことが必要。同時に命と健康を守るため現政府に対し強い意志を持って意思表示するべき」と政治参画の必要性を説いた。
さらには、頼れる野党の存在が不可欠であることを強調した上で「本当は民主党が頼れる野党にならなくてはいけない。TPPや集団的自衛権等々、政策で野党がまとまり国民に具体策を示すべき。また国民は自身のためにも二大政党制を作るべき」と締めくくった。
10月4日、民主党栃木県連は宇都宮市内において第4回となる『民主党とちぎ政策研究会』を開催した。
今回は、神野直彦さん(東京大学名誉教授)が「地方のことは地方で決める!県民市民の幸せへの近道は“地域主権”」と題し、講演を行った。
神野教授は、財政学と地方財政論を専攻し、国会内の審議会や有識者会議、調査会等の主要メンバーとして、国の施策立案等に尽力している。これらの業績が称えられ2009年には紫綬褒章を受章。
神野教授は地方分権の目的について、平成5年に国会で決議された『地方分権の推進に関する決議』の内容を引用し、「国民が待望するゆとりと豊かさを実感できる社会にするため、中央集権的行政のあり方を問い直し、国から地方への権限移譲、地方税財政の充実強化等により、地方自治を確立すること」とした。
しかし、当時から20年経った今、地方における過疎化や地域経済の空洞化がますます顕著となっている状況から、「“経済成長”ではなく“生活重視”の社会を構築することが必要」と訴えた。
民主党政権時の地域主権改革について、各省庁の枠組みを超えて各自治体に支給した『一括交付金』の導入や、国と地方自治体との協議の場を法制化したことを実績として紹介。
一方、現政権が掲げる『地方創生』について「実態がよく掴めない。補助金が増えるだけなのでは」と、本来あるべき分権改革の姿から逆行しているとの認識を示した。
神野教授は、これからの時代が“工業社会”から“知識社会”に変遷するとし、「私たちがこれから必要なのは、私たち人間の生活や社会の未来を作り上げていくために、身近なところで手の届く公共空間でもって社会的共通資本を管理することである」と説いた。
また、「今の状況が極めて重要な歴史の曲がり角に入っている」と指摘したうえで、「可能な限り国民が身近なところから声を上げ、下から上に改革していくべき」と指南した。